九州大学は,日本を代表する総合大学の一つとして,基礎から応用に至る幅広い学術研究と人材育成を担ってきました.現在の伊都キャンパスは,福岡市西部,糸島半島の付け根に位置し,豊かな自然環境と先端的な研究・教育インフラが共存するキャンパスとして整備されています.空と海に開かれた立地は,落ち着いた研究環境と都市圏へのアクセス性を両立しています.九州大学全体では,約8,200名の教職員と約19,000名の学生が在籍しており,多様な専門分野が集積する大規模研究大学として,学際的な連携や国際共同研究も活発に行われています.
本研究室「凝固工学研究室」は九州大学 大学院 工学研究院 材料工学部門 構造用金属科学講座に属しています.材料工学部門では,金属・無機材料を中心に,材料の創製,組織制御,機能性発現,特性評価,プロセス科学に関する教育・研究を体系的に展開しており,学部教育から大学院教育,産学連携研究まで幅広い活動を行っています.その中で本研究室は材料工学の基盤に立脚しつつ、次世代のものづくりを支える学理の深化に取り組んでいます。
本研究室は,鋳造・凝固・結晶成長を基盤とする材料科学の研究室です.金属材料が溶融し,凝固し,材料組織を形成する過程を対象として,特性を支配する凝固組織・材料組織がどのように生み出されるのかを科学的に理解することを主眼としています.近年は,粉末床溶融結合(Laser Powder Bed Fusion :PBF-LB)方式に代表される金属 Additive Manufacturing を念頭に置き,急速溶融・急速凝固という極限的なプロセス条件下で生じる現象の解明に取り組んでいます.一方で,特定の製造プロセスに限定されることなく,凝固を支配する基礎理論の構築や,現象そのものの理解を重視する姿勢が研究室の一貫した特徴です. 本研究室の大きな強みの一つは、放射光X線イメージングを用いた高時間分解の”その場観察”です。溶融・凝固・結晶成長が進行するまさにその瞬間を直接可視化することで,従来は推測に頼らざるを得なかった現象を実験的に捉え,理論・モデルと結びつけた理解を進めています.
大学での講義では多くの場合,既に体系化された知識を学び,「正解」のある問いに向き合ってきました.一方で,社会や研究の現場では,”何が問題であるのか”,”どのように解決すべきか”が明確でない課題に直面することがほとんどです. 本研究室では,研究活動そのものを,そうした課題に向き合うための実践的なトレーニングの場と位置づけています.現状を分析し,課題を抽出し,論理的に解決策を構築し,必要十分な試行を行い,その結果を考察し,第三者に理解可能な形で説明する——研究を通じて身につけるこれらの力は,進学・就職を問わず,将来にわたって重要な基盤となるものです. 学生一人ひとりが主体的に研究に取り組み,学会発表や議論を通じて多様な視点に触れながら,自ら考え,行動し,成長していくことを研究室として重視しています.研究室で過ごす限られた時間を自分自身のために最大限活用し,それぞれの次のステージにつなげていくことを期待しています.
溶融金属中で進行する凝固・結晶成長をその場で捉え,理論と結びつけてモデル化し,本質的理解を追求します.
大型放射光施設SPring-8を活用した高時間分解・その場観察により,凝固現象の未解明領域へ踏み込みます.
金属Additive Manufacturing(PBF-LB等)における極限の温度場・凝固条件を研究対象とし,凝固理論の構築を目指します.
学生が研究に主体的に取組み,実験・解析・議論を通じて学理を自ら深めていく研究環境です.
研究内容や研究室に関するご質問がありましたら,お気軽にお問い合わせください.